空き家を相続したらどうする?管理のポイントや放置のリスクについても解説

空き家を相続したらどうする?管理のポイントや放置のリスクについても解説

相続した不動産を適切に管理しないと、老朽化や近隣トラブルの原因となる可能性があることをご存じでしょうか。
定期的な点検やメンテナンスをおこなうことで、建物の劣化を防ぎ、安全な状態を維持することが大切です。
また、空き家のまま放置すると、固定資産税の負担が増し、特定空家に指定されるリスクもあります。
この記事では、相続した空き家の管理方法や放置によるリスク、適切な対策について解説します。

空き家状態になった場合の「管理方法」について

空き家状態になった場合の「管理方法」について

空き家を所有していると、適切な管理を怠ることで建物の劣化が進んだり、防犯上の危険が高まったりする恐れがあります。
とくに、空き家を良好な状態で維持するためには、風通しや水回りの管理、清掃を定期的におこなうことが不可欠です。
これらを怠ると、資産価値の低下を招くばかりか、周囲の環境にも悪影響を及ぼしかねません。
以下に、それぞれの管理方法を詳しく解説します。

換気

空き家を長期間放置すると、室内の空気が滞り、湿気がこもりやすくなります。
湿気は、カビの発生や木材の腐朽を促進し、構造部分の耐久性を著しく損なう場合があります。
また、押し入れやクローゼットなどの収納スペースは通気性が悪く、カビが生えやすい環境となりがちです。
そのため、1か月に1回以上はすべての窓や扉を開け、1時間程度の換気をおこないましょう。
押し入れやクローゼットも開放し、内部の空気をしっかり入れ替えることがポイントです。

通水

空き家の水道を長期間使用しない状態が続くと、水道管の内部が錆びたり、破損の原因となることがあります。
排水トラップ内の水が蒸発すれば、下水の悪臭や害虫が室内に侵入するリスクも高まります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、換気と同じく1か月に1回以上はすべての蛇口を開けて1分以上水を流す通水作業をおこなってください。
とくに、キッチンや浴室、洗面所などの水回りは詰まりやすい場所でもあるため、忘れずにチェックすることが大切です。

掃除

空き家を清潔に保つことは、建物の劣化を抑えるだけでなく、害虫や害獣の発生を抑止するためにも重要です。
埃や汚れが蓄積すると、カビやダニが繁殖し、室内環境が一気に悪化してしまいます。
定期的に床や棚の埃を払い、窓ガラスやサッシを拭き取るほか、換気扇やエアコン内部の掃除も怠らないようにしましょう。
キッチンや浴室などの水回りは湿気がこもりやすいため、とくに注意が必要です。
掃除の際に、建物の傷みや異常を早期に発見できるメリットもあるため、こまめに点検すると安心です。

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所有している不動産を空き家状態で放置した場合の「デメリット」について

所有している不動産を空き家状態で放置した場合の「デメリット」について

空き家を長期間放置すると、建物の老朽化や衛生面の悪化をはじめ、多くのデメリットが生じます。
倒壊の危険性が増すだけでなく、不法侵入の温床になり、防犯上のリスクも高まります。
さらに、ネズミや害虫が発生源となって地域の衛生環境を乱す可能性も否定できません。
こうした問題が深刻化すれば、周辺住民とのトラブルにつながり、地域全体のイメージダウンを招くおそれがあります。

リスク

空き家を放置する最大のリスクは、やはり老朽化による倒壊や火災などの大規模な事故につながる可能性です。
とくに木造住宅は、湿気や害虫の影響を受けやすく、メンテナンスを怠ることで劣化が急速に進行します。
大規模災害や台風などの自然災害時には、倒壊により周囲に大きな被害を与えるかもしれません。
また、敷地内に雑草が生い茂れば害虫が増えやすくなるほか、不審者の隠れ場所になってしまう場合もあるため注意が必要です。

特定空家

適切に管理されない空き家は、特定空家に指定されるリスクがあります。
特定空家に認定されると、市区町村からの勧告や指導の対象になり、固定資産税の軽減措置が解除されることが一般的です。
固定資産税が最大で数倍から六倍ほどに増えるケースもあり、結果として大きな経済的負担を負うことになりかねません。
もし所有者が指導に従わない場合、建物の強制撤去など厳しい措置がとられることもあるため注意が必要です。

所有者責任

原則として、空き家の所有者には、建物を安全な状態に保つ責任があります。
放置によって第三者に損害を与えた場合、民法に基づき損害賠償責任を問われる可能性があります。
たとえば、崩れ落ちた屋根材が通行人や近隣の建物に被害を及ぼした場合、所有者がその損害を賠償しなければなりません。
庭の雑草がはみ出して周囲に迷惑をかけたり、害虫が広がったりするような事例も、トラブルの原因となるため要注意です。

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所有している不動産を空き家状態にしないための解決策

所有している不動産を空き家状態にしないための解決策

前述のように、空き家をそのまま放置していると、老朽化や衛生面、防犯面などで多くのリスクを抱えることになります。
しかし、適切な対策を講じることで、こうした問題を未然に防ぐことは十分に可能です。
解体や譲渡、売却など、状況に応じて最適な方法を選択し、空き家を有効活用していきましょう。

解体

空き家を解体して更地に戻すと、倒壊や不法侵入などのリスクを根本的に減らせます。
解体費用は、建物の構造や広さによって異なりますが、木造住宅の場合は坪当たり3万円以上が相場です。
たとえば、50坪程度の住宅を解体すると、100万円を超える出費が必要になることもあります。
自治体によっては空き家解体への補助金制度があるため、事前に確認することで費用負担を軽減できる可能性があります。
ただし、解体後は住宅用地の特例が適用されなくなるため、固定資産税が大幅に増えることがある点にも留意しましょう。

譲渡

空き家を親族や第三者に譲渡し、有効活用してもらうことで、所有者としての管理負担を解消できます。
無償譲渡であっても、物件の評価額によって贈与税が発生する可能性があるため、事前に専門家に相談することが望ましいです。
また、譲渡先が活用方法をきちんと考えてくれるかどうかも重要で、条件や責任範囲を明確にしておくとトラブルを防ぎやすくなります。
空き家を、地域のコミュニティスペースや子育て支援施設などに活用してもらうことで、地域全体の活性化に寄与するケースもあります。

売却

空き家を売却すれば、まとまった現金を得られるうえ、維持管理費や税金の負担からも解放されます。
不動産会社による仲介売却の場合は、市場価格に近い金額を期待できますが、買い手が見つかるまでに時間がかかるかもしれません。
一方で、不動産会社による買取を利用すると、早期に現金化できるメリットがあるものの、一般的に市場価格の七割程度に評価が下がる傾向があります。
解体して更地にしてから売却する方法も考えられますが、解体費用や固定資産税の増額などを総合的に見極めることが大切です。
さらに、売却のタイミングによっては税制優遇を受けられる場合もあるため、専門家に相談しながら計画を立てると良いでしょう。
以上のように、空き家を放置せずに解体、譲渡、売却などの方法を検討することで、さまざまなリスクを回避できます。
空き家の特性や立地条件、所有者の経済状況や将来的な計画などを踏まえ、最適な方法を選びましょう。
早めに対応するほどトラブルを防ぎやすく、資産価値を守ることにもつながります。

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まとめ

空き家を放置すると老朽化や近隣トラブルが発生し、特定空家に指定されるリスクがあります。
特定空家になると固定資産税の増額や強制撤去の可能性があるため、早めに対策することをおすすめします。
解体や売却、譲渡などの方法を検討し、空き家を有効活用して管理負担を軽減しましょう。